富山市のお寺さんよりご依頼があり、
富山市正興寺 本堂屋根瓦おろし替え工事
(瓦屋根リフォーム工事)
黒瓦だった本堂を庫裏部分(住宅)と同じ銀黒色の瓦で「瓦下ろし替え工事」をさせて頂きました。
瓦は富山県内産の49判瓦より、軽量でかつ強く防災化された最新の53判防災瓦を使用し、屋根が軽く、災害等に強くなるよう仕上げました。
屋根両サイドの袖側には風切り丸を取り付け、その内側に下り棟を取り付け、仕上げました。
風切り丸は既存の屋根にはなかったのですが、お寺さんの屋根という事もあり、私の判断で提案させて頂きました。
本棟には軒瓦を土台にした甍棟(棟唐草)、棟を美しく見せるための肌熨斗(ハダノシ)、という、手間はかかりますが重厚かつ美しく映えるような施工で仕上げさせて頂きました。
本堂の屋根の上から立山連峰の望める素敵なお寺さん。
美しい山々に負けぬよう、新しい瓦が美しく見えるように仕上げさせて頂きました。
軽量化、防災化された瓦を使用し、雪の落ちないよう屋根全体に雪止め瓦を入れ仕上げました。
瓦懇志された方々の名前が瓦の裏面に書かれ、ご志納された瓦も奉納葺きさせて頂きました。
防災化された瓦を防災施工で仕上げることにより、地震や台風、大雪等の災害に強い瓦屋根に仕上げる事ができました。
防災瓦すべてに釘留めし、軒や袖、角瓦のように、屋根の角、端部分の瓦には、パッキン付きの防災ビス釘(瓦用パッキンビス釘)を加え、三本のステンレス製の瓦用釘で補強してあります。
棟瓦や鬼瓦も新しくなりましたが、大工さんにより懸魚も新しくされ、鬼瓦とバランスよく取り付けられました。
懸魚を鬼瓦と表裏一体のように、対にして取り付けるのが流儀だそうです。
仕上がった屋根の点検をしていると、美しい光が差してくれました。
棟瓦と鬼瓦。棟瓦の下に軒瓦(甍)を葺く事により、お寺さんらしい重厚な仕上がりになります。
棟瓦の内部には、縦鉄筋と横鉄筋を入れ補強する事により、地震や台風、大雪等に強く仕上がっています。
家紋は八ツ藤紋
鬼瓦を石川県の鬼師:森山茂笑さんに依頼し、手作りで鬼瓦を造っていただきました。
鬼瓦の胴に、鬼師:森山茂笑さんの印が押してあります。
鬼瓦は御所鬼(教の巻)
御所鬼瓦の三本の角は、お経を書かれた巻物をかたどったもので、災害や疫病等の災いから人や建物を守る思いが込められています。
鬼瓦の足部分にある波模様は水害から守る思いが、脚の付け根部分にある雲と呼ばれ、風よけ、風害から守る思いが込められていて、しっかりと取り付けさせていただきました。
(御所鬼は信心深い富山県の県民性を表しているのか、一般住宅を含めて、富山県内でとても多く使われている鬼瓦です。この御所鬼が県内中で守ってくれているおかげで、災害の少ない県になっているのかもしれませんね。)
〇 施工仕様(寺社仏閣仕様)〇
平部 :小松製53A判瓦(防災和瓦、銀黒瓦、全数ステンレス釘止め)
雪止め(ツル形雪止め(輪型雪止め))、7枚抜き入れ
袖部:瓦パッキンビスによる防災補強
軒瓦:瓦パッキンビスによる防災補強
棟部:御所鬼瓦(大橋製鬼瓦(作:鬼師 森山茂笑))
甍棟(棟唐草)
肌熨斗(はだのし)
しっくい施工
棟内部には、縦鉄筋、横鉄筋による防災補強
(全日本瓦工事業連盟指定のガイドライン工法という
地震、強風、大雪等に強い防災施工で施工しています。)
~追記:屋根雪の状態(2022-03-07)~
道路側の軒下には本堂への入り口と蓮如上人の銅像があり、雪を落とさないようにとおっしゃっておられた住職様のご希望に合うように屋根全体に輪型雪止め瓦(ツル止め瓦)を入れて、雪が落ちにくい仕様の屋根になるように施工しました。
屋根に雪を留めますが、軒が折れないよう、軒先に負担のかからないように、雪止め瓦を7枚抜き(3枚抜き)という方法で屋根全体に入れ、軒先の上部には多めに雪止め瓦を入れ、軒が折れないよう、軒先に負担のかかりにくいように、雪が落ちにくいように仕上げました。
屋根雪の少し溶けた状態
屋根に積もった雪はどうしても軒先の方に溜りがちですが、雪止め瓦に雪を留め、屋根全体で雪が少しずつ解けている様子がわかります。
富山市正興寺 瓦おろし替え工事の施工レポートはこちら↓ ↓